ホクホクとした食感に優しい甘さを持つユリ根ですが、家庭の食卓に馴染み深いとまでは言えない高級感のある食材です。
おせち料理や薬膳料理などでよくみかけることから、栄養はあるということは分かりますが、実は意外な効能も持っています。
普段手にしない分、調理や保存のポイントを抑えて家庭料理に加えられたら、食卓に変化をつけられそうですね。
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ユリ根の栄養成分は?
良質のデンプンが主成分で、ジャガイモの2倍程のたんぱく質も含んでいます。
エネルギーだけでなく、ビタミン、ミネラル、食物繊維も豊富で、中でもカリウムは野菜の中でもトップクラスの含有量です。
食物繊維はごぼうよりも多く、特に水溶性食物繊維の一種であるグルコマンナンを豊富に含んでいるという特徴もあります。
ユリ根には精神安定に効果があるとされる、アルカロイドが微量ながらも多数含まれていることも注目されます。
ユリ根の栄養効果・効能は?
ユリ根の効果
むくみや栄養補給、便秘の解消や腸内環境の改善、ダイエットや生活習慣病予防といった健康効果があるようです。
特徴的な効果として不眠や精神安定、更年期障害の症状の緩和といった効果も期待されています。
ユリ根の効能
野菜の中でもトップクラスの含有量のカリウムは、ナトリウム排出を促進する利尿作用で、むくみ解消や疲労回復といった働きを持っています。
食物繊維のグルコマンナンは腸内細菌によって分解されると、オリゴ糖に変化して善玉菌を増やして腸内環境を整えてくれます。
胆汁酸を運んでコレステロール値を下げ、糖の吸収を抑えて血糖値を抑制する働きなどから、糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病の予防といった効果も期待できます。
生薬として使われてきたユリ根は、煩躁・動悸・不眠など鎮静効果があるとされています。
微量ながらも多数のアルカロイドが含まれることから、気持ちを落ち着かせる作用は生理前や更年期障害などのイライラも緩和してくれるそうです。
鉄分や葉酸、食物繊維も豊富で精神安定の効果もあるユリ根は、ストレスや不安を感じやすく、便秘がちにもなる妊婦さんに最適とも言われています。
ユリ根の雑学
ユリは北半球アジアを中心に世界中に分布していますが、球根を食べるのは中国と日本くらいで殆どの国は観賞用として扱われています。
中国では古くから薬として使われており、イライラやヒステリーのような症状を「ユリ病」とよび、その薬として処方されていたそうです。
日本では藤原京時代には祭事にも使われており、江戸時代には栽培もされるなど、その歴史はとても古いものとなっています。
観賞用の品種のユリ根は苦味も多く、現在食用として食べられているのは苦味の少ない「小鬼百合」と「鬼百合」の二種類で、9割以上が北海道で栽培されています。
栽培から収穫までとても手間がかかる食材で、収穫までに4年以上、一度植えた畑は7年程空け、球根を植え替え、花はつぼみのうちに摘む、高級食材になるのも頷けます。
ユリ科の植物には毒があるといわれますが、すべてに毒があるわけではなくユリ根は大丈夫です。
ユリ根は人間にとっては無毒でも猫にとっては危険で、猫が食べる急性腎疾患になってしまう可能性があるので注意が必要です。
ユリ根の保存方法
おがくずに詰められて販売されていることが多く、このおがくずにと一緒に袋などに入れて冷蔵庫で保存すれば一ヶ月程保存できるそうです。
おがくずがない場合は、新聞紙などに包んでから袋にいれ、やはり冷蔵庫で保存します。
ユリ根は水気に弱く、新聞紙は水気防止ですから、決して湿らしたりしないように注意しましょう。
鱗片をバラバラにした場合や、洗ってしまった場合は、さっと茹でてからラップに包み、冷凍保存した方が美味しく食べられて日持ちもします。
美味しいユリ根の選び方
ユリ根の旬は11月~3月と寒い時期で、収穫後2~3ヶ月倉庫で寝かせたころが甘みがまして美味しくなるといわれています。
ユリ根は白く、ギュッと締まっているもので、鱗片の1片が大きいほうが甘味が強いと言われています。
傷や黒ずみのないものを選び、特に色が紫がかったものは苦味が強いこともあるので注意が必要です。
ばらしてパックに詰められて売られている場合もあるそうですが、おがくずと一緒に詰められたもののほうが新鮮で日持ちするそうです。
ユリ根の栄養効果の高い食べ方・調理方法は?
ユリ根は火の通りが早く、沸騰したお湯で茹でる場合は2~3分程度で火が通ります。
茹で過ぎると溶けてしまい食感が失われるだけでなく、栄養素も壊してしまうので注意が必要です。
ユリ根には、グルコマンナンという水溶性の食物繊維が豊富に含まれているので、必要以上に水で洗い流したり、茹でたりといった調理方法はもったいですね。
ホクホクとした食感を楽しみながら、蒸す、焼くといった調理方法がおススメです。
栄養豊富といってもカロリーの高い食材ですから、量をたくさん食べるのは避けたほうがよく、お料理のアクセントとして「茶碗蒸し」の定番となっているのは理にかなっているようです。
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